
お子さんの発達や行動に関する診療についてご案内します。
【初診のご予約について】

小児期の発達や行動の問題に関する初診外来は原則としてお時間を45分お取りして丁寧にお話を伺うため、平日11:00から または 18:00から の診療となります(ネット予約が可能です)。予約時間の10分前にご来院ください。
▼ お急ぎの方へ(お電話でご相談ください) 状況により直近での受診をお急ぎの場合は、お電話にてその他の時間帯でのご予約も承っております。
※その場合は一般外来の診療枠(15分)でのご案内となるため、当日は「現在もっともお困りの問題への対応・アドバイス」が中心となります。あらかじめご了承ください。
1)発達や行動について、このようなご相談をお受けしています
- 言葉の遅れや発音の心配がある
- かんしゃくが強い
- 言葉での指示が通らない、切り替えが難しい
- 集中が続かない、落ち着きがない
- こだわりが強い、同じことを繰り返す
- チック(まばたき・顔や体の一部を動かす・声を出す)が見られる
- 寝つきが悪い、夜中に起きる
- 朝起きられず、立ちくらみや頭痛が続く
- 腹痛・頭痛、それに伴う不登校
2)当院での診療体制
当院では、小児神経専門医・子どものこころ専門医が、お子さんの発達や行動だけでなく、身体面の問題も含めて総合的に診療します。
必要に応じて、心理検査(発達検査・知能検査)、血液検査、脳波検査などを行い、今後の支援や治療方針をご家族と一緒に考えます。
医療で対応すること、福祉や教育で対応することを整理し、必要に応じて関係機関へ当院での評価内容や支援上の留意点を診療情報としてお伝えします。(社会的処方)
薬物療法が有効と考えられる場合には、その選択肢についてもご説明します。
受診の手順
特に就学以後のお子さんについては、可能であればご本人にも受診理由をご説明いただき、一緒に受診してください。
初回診察では、問診、行動観察、必要に応じて神経学的診察などを行います。
心理検査をご希望の場合も、まず診察を行い、検査を行うことがお子さんの診断や支援に役立つかを検討したうえで、必要な検査を選択します。
園や学校から特定の検査を勧められて受診される場合もありますが、必ずその検査を行うわけではありません。お子さんの発達段階、相談内容、検査への取り組みやすさなどを考慮し、ご家族と相談して決定します。
ご本人が受診を希望されない場合や、保護者の方だけでの相談をご希望の場合は、予約時にお伝えください。初回は保護者のみでお話を伺うことも可能です。
STRAW-R(限局性学習症の評価)、Conners-3(ADHDの評価)は保険適用外のため、自費検査となります。
当院で実施可能な主な検査
- 新版K式発達検査
- WISC-V
- M-CHAT
- PARS-TR
- STRAW-R
- Conners-3
- 脳波検査
- 血液検査(基礎疾患検索)
3) 知能検査・発達検査について

当院には、
「ADHDや自閉スペクトラム症(ASD)の診断のためにWISCを受けたい」
「就学相談のために発達検査を受けたい」
というご相談を多くいただきます。
しかし、知能検査や発達検査だけでASDやADHDなどの神経発達症を診断することはできません。
また、発達障害の診断のために、すべてのお子さんに一律でWISCなどの心理検査が必要なわけでもありません。
診断で大切なのは、日常生活での様子です
ASDやADHDの診断では、
- 診察時のお子さんの様子
- 家庭や園・学校での行動
- 現在どのようなことに困っているか
- これまでの成長・発達の経過
などを総合的に評価します。
心理検査は、その評価を補うために必要に応じて行います。
「支援が必要」と「発達障害の診断がある」は同じではありません
園や学校で支援が必要になる理由はさまざまです。
ASDやADHDだけでなく、
- 知的発達症や境界域知的発達
- 処理速度やワーキングメモリーの弱さ
- 読み書きなど特定の学習の苦手さ
- 不安の強さ
- 手先の作業や書字の苦手さ
などによって、集団生活や学習に困難を生じることがあります。
逆に、ASDやADHDの診断基準を満たさなくても、園や学校で個別の支援が必要なお子さんはいます。
診断名と教育上の支援ニーズは、関連はしていても同じものではありません。
就学前相談では、園での様子も大切な情報です
就学前のお子さんでは、
「通常学級で大丈夫でしょうか」
「少人数で学べる環境の方がよいでしょうか」
といったご相談も多くあります。
就学先や支援を考える際には、心理検査の結果だけでなく、
- 集団活動への参加
- 一斉指示への反応
- 友達との関わり
- 活動の切り替え
- 小集団や個別場面での様子
- 言葉の理解
- 学習の準備状況
なども重要です。
園や学校の先生方からの、
「少人数なら参加できる」
「一つずつ指示するとできる」
「絵や写真を使うと理解しやすい」
といった具体的な情報は、診察室だけでは分からない大切な情報です。
ご家庭、園・学校、医療機関での様子を合わせて考えながら、その子に合った支援方法を検討します。
4)WISC-Vについて
WISC-Vは、主に学齢期のお子さんの知的能力や認知特性を評価する検査です。
言葉を使って考える力、目で見た情報を整理する力、情報を一時的に覚えて扱う力、情報を素早く処理する力などを評価します。
たとえば、
「理解力はあるのに板書が間に合わない」
「ゆっくり考えればできるのに、一斉授業では追いつきにくい」
といった学習上の困難を考える際に役立つことがあります。
一方、
処理速度が低い、ワーキングメモリーが低い、指標間の差が大きい、といった結果だけからASDやADHDを診断することはできません。
当院ではWISCを一律には行っていません
WISCは有用な検査ですが、実施には長時間を要し、お子さんにも負担がかかります。
当院では、検査によって診断や支援方針が変わり、本人に大きなメリットが期待できる場合に実施しています。
特に、
- 知的発達症や境界域知的発達の評価が必要な場合
- 特別児童扶養手当など、公的制度に必要な知的機能評価を行う場合
- 障害年金など将来の診断上、客観的な知的機能評価が必要な場合
- 知的障害は明らかでないものの、学校での学習困難が著しく、認知特性を詳しく評価することで支援方針に役立つと考えられる場合
などに優先して検討します。
「発達障害かどうかを調べるため、とりあえずWISC」という目的では、必ずしも実施をお勧めしていません。
5)未就学児の発達検査について
WISC-Vは5歳から実施可能ですが、年齢だけで検査の適否を決めることはできません。
特に5~6歳頃のお子さんでは、
長時間集中することが難しい
言葉による教示を十分理解できない
疲労や緊張によって、本来の能力を十分発揮できない
ことがあります。
そのため当院では、未就学児にWISC-Vを一律には行っていません。
年齢、発達段階、相談内容に応じて、新版K式発達検査や質問紙による発達評価など、より適した方法を選択します。
新版K式発達検査も1時間程度を要するため、未就学児ではまずKIDSや遠城寺式など、負担の少ない質問紙による評価で十分な場合もあります。
検査ができる年齢であることと、その検査がお子さんに適していることは同じではありません。
6)2~3歳頃のお子さんについて
2~3歳頃は、言葉、社会性、遊び、コミュニケーションが大きく発達する時期です。
言葉がなかなか増えない
呼びかけへの反応が乏しい
人とのコミュニケーションが少ない
発達全体がゆっくりしている
といった場合には、必要な評価を行い、早めに支援につなげることが大切です。
7)検査を待たずに始められる支援もあります
この年齢では、診断名が確定するまで待つのではなく、発達上のニーズが分かった段階から必要な支援を始めることを重視しています。
心理検査は支援を考えるための一つの手段ですが、検査結果が出るまで何もできないわけではありません。
「一度に複数の指示では難しい」のであれば、一つずつ伝える。
「大人数では難しいが小集団ならできる」のであれば、小集団で活動する機会を増やす。
「予定が分かると落ち着く」のであれば、絵や写真、予定表を使う。
こうした支援は、診断や検査を待たずに始めることができます。
当院が大切にしていること
当院では、
医学的な診断
お子さんの発達・認知特性の評価
園や学校で必要な支援
そのために必要な心理検査
をそれぞれ整理して考えています。
必要な場合にはWISC-V、新版K式発達検査などを行いますが、検査によるメリットが小さいと考えられる場合には、診察や日常生活の情報から支援を考えることもあります。
「何の検査を受けたか」「何という診断がついたか」だけではなく、その評価がお子さんの生活や学びにどう役立つか。
お子さんが持っている力を発揮しながら、家庭、園、学校で安心して育ち、学べる環境を一緒に考えることを、当院では大切にしています。



